夜19時からB先生のシューベルト歌曲のレッスン。
ちょっと張り切ってデジカメ撮影に周り過ぎたかな???とも思ったけれど、日本での連続夜勤に比べたら、全然平気。

まずは昨日のおさらい「Fischerweise」から。
昨日に比べたら多少疲労も取れたし、今日は昼間にN先生のレッスンを先に受けてシューマン歌曲3曲目一杯歌って来たので、発声も充分に出来たので、昨日に比べれば苦手な曲とは言え、日本で練習している時の少し不調、くらいのコンディションにはなれた。でも、相変わらずウムラウトは修正の嵐。まだまだだけれども、昨日に比べたら大分良くなったと、B先生より。今年は、毎日この「Fischerweise」を歌うのだろ〜か・・・???と思ったら、最初のレッスン曲の選択を間違えてしまったよ〜な気分に、若干鬱気味(自爆)

本日は1曲目。まず「Du bist die Ruh」
この曲、日本にいる時に谷岡先生のレッスン時から中声用でレッスンを受けた。音域に関しては見事にビンゴ〜♪
まず、いつものよ〜に静かにピアニッシモでロングブレスに最大限の注意を払いながら歌った途端に、B先生からストップ!!!を喰らう。B先生から大きな声で、
「下の支えが足りない!!!」
と・・・・・。ブレスの箇所はカンマ通りとの指摘は無かったけれども、フレーズを大きく取って繋げて歌うように指摘されたけれど、一番大きく修正されたのは下腹部〜下肢のしっかりとした支えによる深く豊かな響きの声を求められた。まるでメゾソプラノかコントラルト並みの深い声。日本でシューベルト歌曲のレッスンを受けた時にこんな声を要求された事は恐らく、無い。
まるで、ヘンデル歌劇「エジプトのジュリアス・シーザー」のクレオパトラ並みの深い発声。
これで本当にこの「Du bist die Ruh」という曲に聴こえるのか?????と思うくらいだった。
日本とウィーンとの、大きな違いを実感させられる。
私がこの曲の録音で持ってるCDが、バーバラ・ボニー(死)
仕方が無い。本当に、音取りのためだけだから構わないと思ってボニーの録音を聴いていたのだが、このような事態になるという事は私自身の認識が甘い!!!という事。
今後は、本当に購入する録音に関して歌手のセレクトを厳密に行う必要性を痛感した。耳から録音技術を駆使して調整された「綺麗さ」で自分の耳を慣れさせる事から、何としても脱却する必要性を認識せざるを得ない。本当なら、録音を聞かずに自分で譜読み、音取り出来ればそれに越した事は無いけれど、日本にいる間の連続夜勤では、その時間も体力も、無い。ならば、方法論から変える必要性がある。
でも、これはこれで良しとしようと考えた。逆に、自分の間違った認識を改めるために今このウィーンのレッスンに来ているのだと。例え誰の録音を聴いたとしても、ちゃんと自分自身の声、発声で、自分自身の音楽を美しく創り上げて行くために、今自分はこの場に立っているのだと考える事にした。
ドイツ語の発音では、子音で終わる言葉と母音で始まる言葉のフレーズをレガートに繋げて歌うという指摘を数か所に渡って繰り返し指摘された。
歌詞の内容、ドイツ語の言葉の意味によって、声量を落としてピアニッシモに聴かせようとするのではなく逆に音楽をレガートに繋げて創る事によって緩やかな表現に聴こえるように歌う、というテクニックの方向に向かうように何度も何か所も指摘された。
フレーズの繋がりとレガートを最も重要視されたが、ブレス箇所の細かい指摘は殆ど無かった。日本でレッスンを受けていた時は、カンマから次のカンマまでは出来ればノンブレスで歌う、等の指摘が多く私自身もそのような事に留意して発声から注意して練習して来た。
声量に関しても、ピアノ伴奏に合わせた声量ではあったが、決して控えめにならないように、逆に私自身が考えていた何倍もたっぷりと大きな声量で豊かに歌うようにB先生から何度も指摘・修正を受けた。
コントラストは必要だけれど、それは声量を絞るという意味では決して有り得ない。飽くまでも「音楽的に」
ロングブレスが必要なフレーズは、声量を絞らずにフレーズを前に進めるように、という指摘だった。
B先生の御指摘通り歌ってもちゃんと「Du bist die Ruh」に聴こえるのだから、本当に不思議だ。
これでは余りに声が大き過ぎやしないか???と心配しているのは、ど〜やら私一人だけらしい(苦笑)
B先生はこの「Du bist die Ruh」に関してはかなりの力が入っていた。一通り通してレッスンした後は、ピアニストEさんが伴奏を行った。
B先生が譜面台の真正面に立っている。その距離、50cm足らず。物凄い迫力。B先生、近過ぎ(自爆)

本日2曲目「Wiegenlied」
まず最初の1小節で止められる。B先生から大きな声で、
「テンポが遅すぎる!!!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
B先生、今年はスパルタ度500%増。気合い入り過ぎでないかなあぁ・・・・・?????
ドン引きしながらストップ。矢継ぎ早にB先生から指摘が飛んで来る。Schlafeの2回繰り返される歌詞は、2回とも違うアクセントとコントラストを明確にして歌われる事。「ざじずぜぞ」の発音が弱い事。冠詞の発音は余り長く発音しないけれどもはっきりと聞こえるように(違う意味の言葉に聴こえる事多し!)
そして、子守唄だからと言って決してピアニッシモで声量を絞って歌うのでは無く、飽くまでもレガートに豊かに膨らませて「音楽的」に子守唄に聴こえるように歌われなければならない、とB先生より。
有節歌曲にバリエーションが必須項目である事は、昨日の「Fischerweise」で既に指摘済みの事項。B先生曰く、
「小さな声で子供を寝かしつけるのでは無く、豊かな声で子供に語りかける」のが「Wiegenlied」なのだ。
という事。
相変わらず、日本で慎重に指摘されたブレス箇所には殆ど触れられず、フレーズの繋がりをレガートに歌う事が重視された。特に音符の動くフレーズのレガートな発声に指摘が集中する。レガートにフレーズを丁寧に繋げながら、はっきりとドイツ語を発音し、尚且つウムラウトの発音に最大の神経を使う。
恐るべし、シューベルトの名曲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(滝汗)
この曲も、最後はピアニストEさんの伴奏で歌って、譜面台左斜め45度の角度の位置に約50cm程の距離でB先生ががっぷり構えて凝視されながらのレッスン、1時間が終了した・・・・・(爆死)

ヘろへろになりながら、本日のレッスン終了。
B先生から「明日は何の曲を歌うのか?」と聞かれて、2曲の楽譜をお渡しした。
はい、今回のB先生のシューベルト歌曲のレッスンの、メイン・イベント〜♪
「Thekla」「Dem Unendlichen」
この2曲の楽譜をB先生にお渡しした時、B先生がニヤリと笑いながら、
「Ja,ja,ja,ja,ja!!!!!」
と、Jaを5回連発。このB先生のJa!の連発は、要注意(核爆)
去年のB先生のレッスンの最終日に、シューベルト「Der Konig in Thule(トゥーレの王)」と「Der Zwerg(こびと)」を持って行った時は、B先生の連続Ja!は3回だったと記憶している。
今回は、Ja!が5回。しかも、ニヤリと顔は笑っているが、目は全く笑っていない(大汗)
楽譜を見たB先生が何度も頷きながら、
「確かに、簡単な曲ではないね」
と仰った・・・・・・・・・・と、ピアニストEさんの直訳(笑)

とゆ〜ワケで、明日は大変な事になりそう・・・・・(無言)


帰りに、ピアニストのEさんとカールスプラッツまで歩いて来た。
私が、日曜日にウィーン楽友協会のコンサートに行くつもりで、今日B先生のレッスン前に楽友協会のチケット販売場所をウロウロ探していた事を話したら、親切にチケット売り場を案内して下さった(涙)
ツィンマン指揮の「ブラ1」と、ピアコン1番を聴きに行く予定。
明日は、ウィーン国立歌劇場に、グルベローヴァのドニゼッティ「ルクレツィア・ボルジア」のプレミエを立ち観鑑賞予定。恐らく、立ち観でも相当の混雑が予測されるので、今日は早めに休むつもり。
ピアニストEさんも、毎日私のレッスンに良く付き合って下さる。1回の伴奏で、10ユーロお礼を差し上げているが、通訳も兼ねてくださっているので本当に有難い限りである。それでもピアニストEさんは、
「自分もとても勉強になっている。音楽の造り方が、いいと思う」
と何度も言って下さった。本当かなあぁ・・・・・とイマイチ不思議だが、ここは素直に喜ぶ事にした。
普段、日本では超捻くれ曲がった根性で日々生活しているので、せめてウィーンにいる時くらいは素直な心で♪

カールスプラッツ駅で別れて、私はゆっくり歩いて帰った。
帰り道20分程、プラプラ歩きながら考えた事。
「明日のレッスン、ど〜しよ〜・・・・・」
夕食は、白ワインと、スモークサーモンと、スライスハムと、ブルーチーズ。
帰宅後、ほぼ気絶状態でソファで眠った。