来年初リサイタルを開く予定で準備を始める所ではあるのだが、大きな問題が伴奏ピアニストである。実はまだ伴奏ピアニストが決まっていないのだ。本当なら、いつもレッスンで伴奏をして下さっている谷岡先生にお願いしたかったのだが、昨日のレッスンで谷岡先生からある提案をされた。『私達も最近忙しくなってしまったので、どこまでお手伝い出来るか分からない。先日あなたの伴奏をしてくれたピアニストの先生がドイツ歌曲の伴奏も出来るという話なら、その先生にお願いした方が良いのではないかと思う。大抵は歌う曲の種類によって伴奏者を分けるような事はしないし、あなたの声の状態を良く知っている人にお願いするのが良いのではないか?』
と谷岡先生に言われた。ただ、私の希望としてはイタリア系とドイツ系は分けたい。理由としては、イタリア系とドイツ系を同じ先生にレッスンを受けているのなら伴奏ピアニストも同じで良いと思うのだが、全く違う先生にそれぞれレッスンを受けているのである。つまり、発声から指導法までかなり先生によって違う。ハリセン先生はモーツァルトを得意としているのでドイツ系がメインだし谷岡先生もウィーンに留学経験を持つのでメインはドイツ系である。
一方、ミルヒー先生はプッチーニやヴェルディなどのイタリア系がメイン。多少はドイツ歌曲なども歌うが、圧倒的に違う。そして何よりも私自身、谷岡先生やハリセン先生の指導法でイタリア歌曲やイタリアオペラは歌わないし歌えない、ミルヒー先生の発声法でドイツ歌曲は歌えない事然りなのである。私はイタリア系とドイツ系ではかなり音楽的に違いが大きいと捉らえている事、専門性と個別性を明確にしたいという意図で伴奏ピアニストも出来る限り分けたいと考えている。その問題が非常に大きい。
それともう一つは、そのピアニストが《伴奏向きかソリスト向きか》という極めて重大な問題がある。所謂、伴奏法を学んだか学ばなかったか、では無い。適性の問題である。これは以前私がとある公開レッスンの伴奏で後日揉めた時の事なのだが、自分がかなり悔しい思いをして今後のドイツ歌曲の伴奏ピアニストについて谷岡先生とハリセン先生に相談した時の事だった。谷岡先生に教えて貰ったのだが、ピアニストも色々で、スタインウェイをガンガン弾きこなす向きの勉強をメインにして来たピアニストとアンサンブルや伴奏などの勉強と経験を積み重ねて来たピアニストとに別れているという事だった。