今年3月にとある公開レッスンを受けた。ピアニストが主催・指導するが、主に音楽的な指導で1曲が受講曲・もう1曲が自由曲で、1曲受講した後で演奏会形式で2曲歌うというもので、私も過去3回受講していた。今年はドイツ歌曲、受講曲がモーツァルトで自由曲がシューベルトで臨んだ。事前に受講曲と自由曲の楽譜を送り申し込むが、合わせは本番当日1回のみ。年に1〜2度伴奏をお願いしていたピアニストだったのだが、今年事件が起こった。
公開レッスン当日の合わせは本番1時間前。最初に受講曲のモーツァルトを合わせて、次に自由曲のシューベルトを合わせた。多少の打ち合わせはするのは普通だと思うが、ピアニストはシューベルトに対して突っ込みを入れてきた。そこのフレーズは音符を強調した方がいいとか、何故そのフレーズでリタルダントするのか等々。
は???と私はかなり引いた。受講曲のモーツァルトは実際の公開レッスンで指導を受けるから良いとしても、何故合わせでシューベルトに難癖をつけるのか?しかもこの本番1時間前に、初めて合わせたのにも拘わらず。ピアニストに何故そう歌うのか?と聞かれたらそれは当然「そのようにレッスンしてきたから」に決まってる。
大々にしてレッスンで勉強して来た事を本番で演奏するために頑張って来たのだ。私は非常に不愉快になった。
しかもそのピアニストは、公開レッスン後の演奏会でも自分のやり方を押し通した。公開レッスンには私の友人も多数来てくれていた上に、レッスンしてくれているハリセン先生と谷岡先生も来てくれていたのに。しかも自由曲に挙げたシューベルトは私が最も好きな曲の一つであり、あのハリセン先生に生まれて初めて誉めてもらえた曲で、谷岡先生が「あなたの声にはシューベルトが合ってると思うから、シューベルトの勉強を頑張ってみたらいいと思う」と始めて私に合う作曲家を見つけて頂いたという、私にとっては大切な大切な曲だった。以前一度演奏会で歌っており、今回は更なる勉強を重ねて成長して次のシューベルトを目指すための足掛かりにしたかった。
それなのに、怒り心頭で全く駄目だった。前回の本番の方がまだマシというくらいに、今までレッスンで勉強して来た事が何一つ出来なかった。
余りの悔しさと腹立たしさのために、それから1ヶ月間はシューベルトのレッスンを受ける事はおろか、シューベルトの楽譜を開く事さえ出来なかった。