今日は急いで仕事を終わらせてギャラリーカフェに行った。最近時間が合わなかったので行けない事が多かった。来年の初リサイタルのピアニストの事も報告に行かなければと考えていた。何しろギャラリーカフェの方々に紹介して頂かなければ出逢う事が不可能だったピアニストだ。
ギャラリーカフェに行ったら担当の方が丁度いらっしゃったので早速ピアニスト決定の報告をした。報告はしたが、もの凄く驚かれた。『ええっ!!!彼女が引き受けてくれたの???良く引き受けて貰えたね〜!!!彼女はもの凄く好き嫌いがはっきりしてて気難しいんだよ!!!凄いね〜良かったね〜練習頑張らなきゃね〜!!!』
それを聞いて本番で歌う以上に緊張した。まさかそんなに気難しい方だと感じた事も思った事も無かった。私の中では音楽に物凄いこだわりがあって研究熱心でピアノが好きで音楽が好きで厳しいだろうけどとても音楽とピアノを大切に大切に生きている方だと感じた。だからこそダメもとで伴奏をお願い申し上げたのだから。
でも良く良く考えてみればその評価はごく自然な事なのかも知れない。あれだけ音楽とピアノにこだわりと思い入れを持っている方だ。妥協も甘えも許されない事は容易に想像が付く。
実際に音楽を勉強していない人々から見たら《気難しい》と映る可能性はあるだろう。それは私自身にも言える事かも知れない。
理解されていないとか、誤解されている、という事では無いのだ。要するに《そのように映る》という事だ。幾ら人当たりが良くて万人受けしても、音楽に対する人並み外れたこだわりと熱意が無かったらダメもとで伴奏をお願い申し上げなぞしない。ピアノの前に座った途端にピアノの音と鍵盤を叩く音しか感じない強烈な世界に引き込まれ、深い研究と探究に裏付けられた一人の演奏家の世界は私なんかが到底辿り着ける境地では無い。それでもその境地のはしっきれだけでも学ぶ事が出来たらと思い、お断りされるのは百も承知の上で体当たり同然の暴挙に出たのだ。
但し、一つだけ後悔している事がある。それは、せめて一度だけでも自分の声や歌を聴いて頂いてからの方が良かったのではないかという事である。だがお断りされるリスクは既に織り込み済みである。後は最初に断られるか途中で断られるか最後までお付き合いして頂けるか、のどれかでしかない。余程頑張らなければならないだろう。今までの勉強の仕方では到底足りないだろう。寧ろ最も厳しい選択かも知れないと思う。