一通り伴奏合わせが終わってピアニストが、
『お茶にしましょう』
と言って下さった。前回の初合わせよりとても砕けて頂けたので私自身自身とても安心したし嬉しかった。ピアニストは、最近コーヒーに凝っている事、体調が悪くて蟹が駄目な事など色々話してくれた。ようやく10月11月の演奏会で聴いたベートーベン【悲愴】やショパンのバラードがまるで鍵盤を叩く音まで聴こえそうで鳥肌が立って今でも耳に残っている事をピアニストに直接伝える事が出来た。嬉しかった。涙が出そうな位嬉しかった。その後お茶をしながらウィーン行きの話をしたり、他の作曲家の話をした。ピアニストは、大学時代に教職を取るために声楽の試験を受けたんだけどシューマンが好きで試験で【女の愛と生涯】を歌ったそうだ。その時の話をとても楽しそうに話してくれた。
『まだ若い頃はシューマンは難しかったけど、大好きで良く弾いたし歌ったのよね』
私が、
「5年位前にシューマンの歌曲を1曲歌った事があるんですが転調が駄目でかなり消化不良でずっと歌えなかったんですが、ウチの先生いわくシューマンはピアノがメインで歌は合いの手だけだから、気にしなくて良いのと言われました」と話したら大笑いしていた。
谷岡先生のシューマンの話を聞いたピアニストが大笑いしていた。何だかすごく私に慣れてくれた事が嬉しかった。
実は、少し前にピアニストに演奏会とは全然無関係な録音を送った。それは、非常に珍しいピアノの録音で、ワーグナーのピアノ曲とワーグナーに因んだリストのピアノ曲を、ワーグナー所有のスタインウェイで演奏された録音である。この録音自体知っている人間はかなり少ないだろう。その録音のピアノ曲だけをMDに録音してピアニストに送った。それをとても気に入ってくれた。私が、自分がただ歌うためだけに伴奏をお願いしたのならこのような交流は望めなかったかも知れない。でも今回私はまずピアニストのバッハとベートーベンとショパンの演奏に惚れたそして、何よりもピアニストの演奏に惚れて勉強したくて伴奏をお願いした。それを理解して貰えた事で、他のどんな苦難も試練も逆境も乗り越えられる気がした。人間例え見込みが無いと思える努力でも案外頑張ってみるもんだ♪最後にピアニストが、
『前回の初合わせの時よりも良く頑張ったと思いますよ』
と言って貰えた。地に足が着いて無い(自爆)既に飲み過ぎ(爆死)2月15日本番まで最後の最後まで諦めないで死ぬ気で頑張る。