自分自身の貧しい心を実感すると同時に、今日この演奏会に出る事が出来なかった事がとても寂しく悲しかった。
仕方が無い。今猛勉強中の自分が何もかも自分の思い通りの演奏なんか出来ない。それでも、ウィーンに行って得るものだけは多過ぎる程だと思っていたのだが、ウィーンから帰国後、私自身ワーグナーを演奏会で歌え無い事に落ち込んで投げやりになりかけてそれでも周囲の人達の助けがあって、せめて勉強だけでも続けようと考えた時にウィーンのM先生から頂いたメールを思い出した。『あなた自身が演奏したい曲を出来るたけ沢山演奏して、それをあなた自身が楽しむ事』
課題と高い目標を出来るだけ多く自分に課してそれに邁進する事は、伝統芸能・古典芸能であるクラシック音楽を演奏する者としては確かに必要であり、自分が理想とする演奏に近付きたいならばそれは避けて通る事は出来ないだろうという事を自分自身認識はしている。でも昨日のピアノの発表会を聴いて、本当に楽しかった事、自分自身とても大切な事を置き去りにして忘れて勉強しているのではないのかという不安というか寂しさを感じずにはいられなかった。欲張っても仕方が無い。必要な落ち込みならば受け入れて行くしか無い。