《ポンちゃん》
それは長年私のピアニストをしてくれている千葉のピアニスト・ヤンくみの旦那様の事である。通称ポンちゃん。ヤンくみが、彼が狸に似ているという事で付けたあだ名らしい(笑)ポンちゃんは、クラシック音楽とはほぼ無縁の生活をされていたらしいのだが、ヤンくみと十数年前に御結婚されてからは、自宅の2台のヤマハのグランドピアノの健康管理に気を配り、毎年演奏会には会場準備やカメラマンとして御活躍あそばされているという大変頼もしいご主人である。お酒が大好きで、私も何度かヤンくみ御夫妻と飲みに行った事がある、明るくて優しくて無邪気なご主人である。まだ私が千葉の病院で勤務していた20歳台後半の頃、もの凄い下手くそで到底ウィーンに勉強に行くなぞ考えられなかった頃からヤンくみのサークルで歌っているのだが、確かヤンくみのサークルに参加して2度目くらいの演奏会の時だったと思う。ポンちゃんが千葉での演奏会でヤンくみに私の歌を聴いてボソッと話したらしい。
『彼女の歌には彼女の人間性が出てるね〜』
これが良い意味の言葉であるとヤンくみから聞いた時にかなり驚いた。それ以来妹が死んで歌から離れていた私はポンちゃんのこの言葉に励まされて来た。

ポンちゃんの好きなクラシック音楽の曲はオッフェッンバック【天国と地獄】、日本では運動会に定番のアノ曲である(爆)クラシック音楽には詳しい訳では無いらしいが、ヤンくみのピアノやサークルのピアノ演奏をいつも聴いているのでポンちゃん独自の長年培って来た感性が非常に高い。それに加えて、とても邪気の無い優しい方で私は《菫のポンちゃん》と呼んでいる(真面)
今まで演奏会がどんなにか上手くいかなくても本当にヤンくみ&ポンちゃんに励まされて来た。毎年千葉での演奏会で変わらない笑顔で演奏者達を迎えてくれるポンちゃんは、私達にとってなくてはならない存在である。私自身何度ポンちゃんの言葉に励まされて来たか解らない位だ。
去年ウィーン行きの話が出た時にヤンくみ&ポンちゃんと三人で飲みに行った時ポンちゃんが去年の演奏会で歌った私のヴェルディのオペラアリアを聴いて、
『今年の演奏会聴いて写真取ってて、きっとどんどん成長して行って、いつか一流になっちゃうのかな、と思った』
と話してくれた。ウィーン行きに迷い悩んでいた私は随分励まされた。いつも私と三人で飲みに行くのを楽しみにしてくれている菫の花のようなポンちゃん。今年も会えるのが楽しみだ。