スザンナに関して指摘された注意点はそれ位だったが谷岡先生は
『全体的に丁寧にレガートに歌えてるし、特に低音はかなり綺麗に出ている。いいと思うけどな〜・・・・・』
との事。しかし私も「スザンナは飽くまで来年ウィーンのN先生のレッスンに持って行く為だけで、演奏会で人様の前で歌うつもりは無い。自分自身かなり違和感がある」と説明した。谷岡先生も多少は了承してくれたかな?というカンジ(笑)声質はどうあれ谷岡先生が聴いてみてそれ程悪くは無いのであれば、来年ウィーンのN先生のレッスンにスザンナを持って行く事は可能だろう。スザンナのアリアもう1曲とモーツァルトのドイツ歌曲集に入っているスザンナの《隠れアリア》なる曲が宿題に出された。谷岡先生にスザンナの次はドンナ・エルヴィーラを勉強したいと話した。谷岡先生に
『あなたの声ならドンナ・エルヴィーラよりもコンテッサの方がいいんじゃない?』
と尋ねられたが、前のソプラノ先生のレッスンでコンテッサを歌ったが非常に難しかっので先送りをお願いした。
今日はスザンナだけで帰ろうと思っていたら谷岡先生から
『今日はスザンナだけ?後は何か歌わないの?ドンナ・エルヴィーラ歌ってみる?(笑)』
と聞かれた。

流石にドンナ・エルヴィーラは音取りもまだだったので御遠慮申し上げた(笑)でも、いつもお忙しい谷岡先生がそう仰っしゃって下さっているんだからもう1曲くらいと思い、まだ楽譜もきちんと作っていない高音もきちんと出せていないし譜読みも完成してないけどそれでも良ければパミーナを、という話になった。谷岡先生は、
『それでも大丈夫だからちょっとパミーナ聴かせてくれる?』
と仰っしゃったので取り敢えず通して歌った。細かいリズムやテンポや休符などあやふやだったし、アジリダの部分は流石にきちんと声を出す事は出来なかった。
しかし、歌い終わった途端に谷岡先生がとんでも無い事を仰せになった。『やっぱりあなたにパミーナはピッタリ!絶対合ってる。N先生はウィーンであなたの声を聴いてすぐにパミーナの声だって解ったのね。流石N先生だわ!パミーナやりましょう!勉強しましょうよ!』
・・・・・・・・・・。私が唖然として固まっていたのは言うまでも無い。まさか谷岡先生がそこまで仰っしゃるとは正直予測もしなかった。私はかなりびっくりして言葉が出るまで時間が掛かったが、先日の演奏会でトゥーレの王を歌った時に、皆さんからパミーナは違う!と指摘された事を話した。